舞台は、急成長の途上にある宗教団体“人類協会”の聖地、神倉。大学に顔を見せない部長を案じて、推理小説研究会の後輩アリスは江神二郎の下宿を訪れる。室内には神倉へ向かったと思しき痕跡。様子を見に行こうと考えたアリスにマリアが、そして就職活動中の望月、織田も同調、四人はレンタカーを駆って木曾路をひた走る。“城”と呼ばれる総本部で江神の安否は確認したものの、思いがけず殺人事件に直面。外界との接触を阻まれ囚われの身となった一行は決死の脱出と真相究明を試みるが、その間にも事件は続発し…。江神シリーズ待望の書き下ろし第四長編。





くろーずどさーくる!
れんぞくさつじん!
じゅうすうねんまえのなぞのみっしつさつじん!
たんてい!
はんにんはあなただ!



一見関連のなさそうな様々の要素が最後の謎解きで一本の線につながる。この快感はやっぱりたまらない。ミステリーは面白いと再確認。良作には出会うけど傑作にはなかなか出会えなかった2009年において、この小説が現時点でのナンバーワン。
宗教団体は現代のミステリーにおいてよく使われてるけど、やっぱりやりやすいんだろうなあ。神聖な場所だから入ってはいけない聖堂とか、殺人が起こった後教団がなぜか主人公たちを施設内に閉じ込めることでクローズドサークルが成立したりとか、物語がうまく回ってる。
そして何より、シリーズ物である関係で小説の舞台がいまだに1989年なのが都合いいですね。だってこんなの、現代だったら携帯電話を使えば一発ですから。