すべては「裸になる」から始まって (講談社文庫)

すべては「裸になる」から始まって (講談社文庫)

「荒療治ですが、裸を晒すということは、一度自分をリセットするのに打ってつけでした」家族の愛情に飢えて育ち、底なしの寂しさを抱えてAVという世界にたどり着いた、あたし。「人を好きになりたい」と過激なカメラの前に立つ。人気AV女優が、自らの生い立ちを繊細な筆で綴った、ソウルフルな自伝の書。



AVの世界で生きる女性ってどんなことを考えてるんだ?っていうのが読んだきっかけ。ずっと不思議だったんです。だって、自分の性を売り物にしようってなかなか思えないじゃない。それも、風俗と違って不特定多数の人に自分の性行為を見られ、顔を知られる、それって耐えがたいことじゃないかなと思うんです。金に困って仕方なくっていう理由なら納得できるけど、そうじゃなくて、別に断っても構わない状態であえてAVという世界に身をゆだねる人ってどんな考え方をしているのかな、と。
そしたらこの人はためらいや後ろめたさなんてほとんどなかった。それどころかむしろ単調な日々や人間不信の自分を変えられるかもしれないという漠然とした希望すら抱いてAVへの扉を開いている。AV女優になることへの抵抗はほとんど見られない。いやあ、こんなもんなんですかね。並々ならぬ覚悟が必要なように思ってたけど、一線を踏み越えるなんていう大それた意識などないまますんなりはいれちゃうものなのか。
世の中にはいろいろな考えの人がいて、賛成はできなくてもできるだけ尊重はしなきゃいけないよな、と思ったのでした。