アメトークのプロレス芸人を見ていたら、プロレスラーという、自分の身体で勝負している人たちが眩しく見えてきた。感情を必要以上にむき出しにして、自分の身体をすべてさらけ出して体当たりでぶつかっていく様が物凄く格好いい。ど迫力の攻撃技を繰り出して、相手が嘘みたいな勢いで吹っ飛んでいく。己の全てを出し切って、命を削りながら、痛みに耐えながらもそこで得る快感は、生きているという実感をこれ以上なく感じさせてくれるんだろうと思う。
ポルノスターにもそう感じることがある。カメラを意識しながらの演技ではあるけれど、文字通り裸一貫、性という動物の本能を最大限に爆発させて相手とともに作り出す熱量はやっぱり性的興奮とはまた別の形で圧倒される。勝手な幻想かもしれないけれど。とにかく、自分の身体をフルに爆発させて、人々を魅了する、それを職業にして生きていくというのが、毎日椅子に座って事務作業をひたすら行っている自分からすれば憧れを抱く。野球選手だって俳優だって自分の身体で勝負してるんだろうけど、身体という意味でいけば一番分かりやすくてインパクトが強いのがのが上に挙げた二つの職業だと思うのだ。
よく見るものの中で言うと、フィギュアスケートなんかも同じだね。芸術、というキーワードから見たときに、小説家や画家、あるいは彫刻家というのは、芸術作品を自分の身体の外側に作り出すんだけど、彼らは自分の身体が芸術になる。芸術を作り出すんじゃなくて、自分自身が芸術になる。フィギュアスケートを見るようになってそのことに気づいたとき、なぜか「こいつらずるい」と思った。
養老たけしが「バカの壁」で、「個性は身体に宿る」と言ってたけれど、その意味が把握できてきた。