真似したらぜったい怪我する

土曜日の仕事はやる気が出ないね……。





今週は体調を崩してぼーっとしてたり仕事でやらかしてがっくりしてたりで、なかなか進まない。


乱発される比喩の一つ一つがあまりに独創的で溜息をつきたくなる。
ここなんてすごい。


「ホテル・オークラ本館のロビーは広々として天井が高く、ほの暗く、巨大で上品な洞窟を思わせた。ソファに腰をおろして何事かを語り合う人々の声は、臓腑を抜かれた生き物のため息のようにうつろに響いた。カーペットは厚くやわらかく、極北の島の太古の苔を思わせた。それは人々の足音を、蓄積された時間の中に吸収していった。ロビーを行き来する男女は、何かしらの呪いで大昔からそこにしばりつけられ、与えられた役割をきりなく繰り返している一群の幽霊のように見えた。」


こんな調子でもう何行か続く。
強調すべき特徴があるわけでもないこのロビーをこんな風に描写できるなんてね。特に「臓腑を抜かれた生き物」と「極北の島の太古の苔」がすごい。このイメージの飛躍力はどうやって会得したんだろう。どうやって発想できるんだろう。だいたい普通の人間は極北の島の太古の苔について考えることをしないよ、きっと。