「そして欲得ずくで来たとしても、わしはだまされるほうがいいんじゃ、あの子たちに会えるからなあ。娘たちに会いたい!」




ゴリオ爺さん (新潮文庫)

ゴリオ爺さん (新潮文庫)



社交界に生きる娘二人のために財産を投げ打って、最終的に困窮を極めた上に娘たちからも見放され死に至るゴリオ爺さん。娘たちが自分を愛していないことを薄々は感じながら、その現実を見ないふりして彼は娘たちを愛し続けて我が身を犠牲にして生涯を終えた。それは哀れだけど、ある意味充実していただろう、でも本当の現実ではなく自分が信じたい現実を選ぶことに躊躇がないのは愚かじゃないか、いやでもそれは死ぬ前の強がりだったのか、複雑な思いが読んで十日経つけどまだ頭の中をうろうろしてる。



★★★☆