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[rakuten:book:12207492:detail]
「想像してほしい。
叶った夢が終わるということを。
想いつづけ願いつづけてきた夢が完全に終わるということを。
それは悲しく鬱々しく最高級に不幸で……最悪の地獄だろう。(P7)」
勇者が世界を平和にするために、大冒険の末に魔王を倒す。
その後の平和で穏やかな日々に、波乱万丈の日常を送ってきた勇者は耐えられるのか、とか。
甲子園優勝を夢見ていた投手が、肩の故障をおして投球を続けて見事優勝。
その後再起不能になってプロへの夢を断たれても、本当にそれで満足なのだろうか、とか。
よく想像してた。
夢が叶わないことは不幸で、夢が叶うことは幸福、という図式のはずなのに。
夢が叶ってしまえば、もうその夢は見られない。
夢が叶ったことによって起こる地獄というのも存在するわけですね。
途中まではよかったんだけど、救済が生ぬるくって不満。
それじゃ納得できない。
読んでる途中になんとなくカバーを外してみてあらびっくり。
「鳥でもなくけものでもない(生物学的にはけものだけど)コウモリの生活は、その後も変わらない。洞窟で孤独に暮らしながら、なぜ戦争はなくならないのだろうと今も考え続けている」
(「獣と鳥が戦争をしていて、こうもりは常に有利な側についていたけど、戦争が終わったらどちらからも相手にされなかった。卑怯者になっちゃあいけない」
というイソップ物語のコウモリの話について。)
どっちつかずの立場にいるのなら、どっちつかずの立場のままでいいじゃないか。
肩書きや所属を持たない、黒でも白でもない灰色の場所にいたままでもいい。
分からないものに対して分かるふりをせず、じっと考え続けること。
様々なおとぎ話のパロディー。
すごく恣意的だから、著者が平時主張していることをある程度把握していてある程度共感してないと、
読んでも辛いだけじゃないかな。